【大学野球】理工学部の豪腕慶應大・福谷浩司が語る『卒論とドラフト』 (2ページ目)

  • 水田陽●文 text by Mizuta Akira
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

―― 現在、理工学部に所属していますが、苦労したことはありましたか?

「入試が大変でした。AO入試(自己推薦制度)というのを受けたのですが、全国から20人ぐらい、見るからに賢そうな人が集まっていて......。なかには数学オリンピックに出た人もいましたね。結局、合格したのは4人だけで、何の実績もなかったのですが僕も受かることができました。面接のときに、ずっと笑って楽しんでいたのがよかったのかもしれませんね(笑)」

―― 卒論のテーマは決まっていますか?

「本当はピッチングフォーム解析をしてみたい気持ちはあるんですけど、そこにたどりつく前の段階で終わってしまいそうなので、画像の研究をしようと思います。画像というのは点々の集まりで、その点にはひとつひとつ数字を持っているんです。それを見ただけで、『これは顔だ』『これは肩だ』と識別できるんです。うまく伝えるのは難しいのですが......(笑)」

―― 昨年は、社会活動、文化活動、体育活動などの分野において理工学部学生の範となる活躍をしたものに贈られる『藤原賞』を受賞されたそうですね。

「社会貢献をしたわけではないのですが、リーグ戦でベストナインに入ったことを評価していただいたみたいです。理工学部の先輩からは、社会人になったら賞のすごさがさらに実感できるようになると言われました。僕には大きすぎる賞です」

―― 今年秋に行なわれるドラフトの目玉としても注目されています。プロを意識したのはいつ頃ですか?

「大学3年の時に、全日本メンバーに入ったときです。藤岡さん、野村さん、菅野智之さんたちと同じメンバーに選ばれて、意識するようになりました」

―― 目標とする選手は?

「全日本で菅野さんにはすごくお世話になりました。正直、菅野さんはただの怪物だと思っていたんですが、いろいろと話をすると誰よりも野球のことを考えていて、食事や生活面など、すごく気を遣われていました。あの姿勢は見習いたいですね」

―― 最後に、大学最終年を迎える今年の目標を聞かせてください。

「まず僕の中の前提としてあるのが、高校時代(愛知・横須賀高校)は甲子園を目指すような強豪校ではありませんでした。大学に入って、がむしゃらさや勝利への執念を求められて、最初は戸惑いました。でも実際、リーグ優勝してみると自分に返ってくるものの大きさを感じたんです。だから、何としてもリーグ戦で優勝し、日本一を達成したいと思います。それにドラフト候補のひとりとして結果も求められると思います。ただ、そんな状況でも勝負を楽しむということは大事にしていきたいと思っています」

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