金メダル獲得へ大橋悠依に平井コーチが授けていた作戦。リオ五輪金の萩野公介の泳ぎから伝えていたこと

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by JMPA

 東京五輪の水泳競技金メダル第1号は、女子400m個人メドレーの大橋悠依(イトマン東進)が獲得した。

 今年4月の日本選手権や6月のジャパンオープンでは、納得いく泳ぎができずに表情を曇らせていた大橋。だが、東京五輪水泳競技初日7月24日の400m個人メドレー予選の泳ぎは軽やかだった。

多くの人の支えがあって金メダルが獲れたと話した大橋悠依多くの人の支えがあって金メダルが獲れたと話した大橋悠依 最初のバタフライは、ジャパンオープンまでの少し引っかかるような動きとは違ってスムーズ。隣のレーンのハリ・フリッキンジャー(アメリカ)と競り合って、100m通過は3位だったが、大橋に慌てる様子はなかった。そして次の背泳ぎは、彼女らしい静かな泳ぎで少し抜け出すと、3泳目の平泳ぎでその差を一気に広げて、2位に3秒5以上の差をつけた。

 そして、最後の自由形はリラックスした流し気味の泳ぎで、4分35秒71と全体3位の記録で決勝進出を果たした。

 記録自体は、日本選手権やジャパンオープンと変わらない4分35秒台だが、泳ぎは全体的に余裕があった。平井伯昌コーチは「これまで五輪の予選をシミュレーションした泳ぎで、流して35秒台というのはなかったのでよかった」と話す。

 そして迎えた翌日25日の決勝。その日最初のレースだった男子400m個人メドレーの優勝タイムは、4分09秒42と平凡な記録に終わったのを見て、平井コーチは大橋に作戦として、300mから350mの重要性を伝えていた。

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