【月刊・白鵬】横綱もグッときた、千代の富士の「還暦土俵入り」 (3ページ目)

  • 武田葉月●構成 text&photo by Takeda Hazuki

 さて、大相撲の本場所が開催されるのは、年6回。その合間には、地方巡業()が行なわれ、私たち力士の一年も、何かと慌しいものです。
※おおよそ、春(4月)、夏(8月)、秋(10月)、冬(12月)に行なわれる。

 そんな中にあっても、夏場所(5月場所)が終わったあとの6月は、基本的に巡業はなく、落ち着いて部屋での稽古に打ち込める時期となります。しかし今年の6月は、さまざまな行事やイベントなどが盛りだくさんあって、私はなかなかゆっくりすることはできませんでしたね。

 九重親方(元横綱・千代の富士)の還暦土俵入りに参加させてもらったり、ファンの皆さんと一緒に屋形船に乗ったり、「白鵬米」の田植えのために、北海道に行ったりもしました。6月17日からは滋賀県で宮城野部屋の合宿もこなして、20日には北陸新幹線「かがやき」の開通を記念しての、石川県小松市で行なわれた巡業にも参加しました。全国を飛び回ってバタバタとしていましたが、いろいろな体験、経験ができたのはよかったです。

 その中でも、とりわけ印象深かったのは、九重親方の還暦の土俵入りです。

 九重親方、すなわち千代の富士関と言えば、昭和の終盤から平成にかけて、頂点に君臨してきた大横綱です。残念ながら、私は生でその姿を拝見したことはないのですが、映像を通して、また対戦経験のある親方衆から、その強さ、素晴らしさは伝え聞いています。「ウルフ」というニックネームがぴったりの横綱だったと思います。

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