落ち着いた羽生結弦。転倒も
「GPシリーズ開幕戦初勝利」の起爆剤に

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi 能登直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 悔しい思いはありつつも、修正点も見つかった。そのうえ「体力もまだまだ残っている状態だから、その意味でも明日につながるいいステップになったと思う」と羽生は言う。

 この大会、羽生は非常に落ち着いており、余裕を感じさせる。それは、『バラード第1番』も『SEIMEI』も自分の体と心にしっかりしみこんでいるプログラムという思いがあるからだろう。

「いろいろな面でとても落ち着いてできていますね。何よりこの構成が一番練習してきているものですから。もちろんオータムクラシックの4回転サルコウを入れた(SPの)構成と比較すれば20点近く低いので、大きなミスがあったのではないかと思われるでしょう。たしかに評価的には大きなミスがふたつありましたけど、自分の手応えとしてはホントに大きなミスではないと思っています。ちょっとずつ修正して明日に向かえばいいのかなと思っています」

フリーの演技に注目が集まるフリーの演技に注目が集まる 羽生自身がそう言うように、ミスの要因はほんの些細なズレのようだ。ジャンプのほんの数センチの高さの差や、わずか数ミリ単位の回転軸の違いだけなのかもしれない。だからこそ、その落ち着いた気持ちに変化はないのだろう。

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