原口元気の市場価値が上昇中。得点よりもチームへの貢献度が評価されている (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by Reuters/AFLO

ゴール前より中盤で存在感

 原口はドイツでプレーするようになってから、あらゆるポジションを経験してきた。ドイツでの最初のクラブであるヘルタ・ベルリン時代には、サイドバックでのプレーも求められた。なかなか思うように攻撃のポジションを任せてもらえず、フラストレーションがたまる時期もあった。一方で、フォルトゥナ時代のように、攻撃はすべて原口を経由するかのように、アタッカーとして全幅の信頼を寄せられていた時期もあった。

 今季は形の上では2列目、3-5-2の中盤で攻撃的なポジションをとることが多い。だが試合が始まると、ゴール前に進出するよりも、中盤で積極的かつ献身的にプレスをかけてボールを奪取するプレーが目立つ。運動量、機動力があるから、チームプレーヤーとして評価されるのはよくわかる。

 マインツ戦は3試合ぶりの先発だった。原口が出場しなかった2試合は連敗しており、チャンスが巡ってきたわけだが、原口が起用されたのは、フィジカル的に強固なマインツに対し、ウルス・フィッシャー監督が守備的な戦術を取ることを決めたからだと、「キッカー」誌は分析している。そのフィッシャー監督は言う。

「マインツに対し中盤を強化することがこの試合のポイントだったんだ」

 そこで原口に求めるものも明快だった。

「前の試合に比べて、少し守備的なバリエーションを増やしたかった」 

 原口はその期待に応えて3-1の勝利に貢献。しかも得点まで決めた。指揮官にとっては嬉しい誤算だったに違いない。「彼が先制にひと役買ってくれたことは嬉しいよ」と話している。
 
 ウニオン・ベルリンは2020年にクラブ史上初めてブンデスリーガ1部に昇格して、2シーズン目を戦っている。今季はカンファレンスリーグという欧州の大会にも参加するというハードスケジュールのなか、リーグ戦で7位をキープしている(第24節終了時点)。クラブの規模を考えれば、大健闘と言っていいだろう。来季もカンファレンスリーグに参加できる6位のホッフェンハイムと勝ち点差は3と、こちらもまだまだ可能性がある。少なくとも残留を果たし、来季も1部で3シーズン目を戦うことはほぼ確実だ。

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