「夢のジャイアンツ首脳陣」を徳光和夫が編成。最初に決めたのはOB以外の人物

  • 菊地高弘●取材・文 text by Kikuchi Takahiro

夢の首脳陣
読売ジャイアンツ編

 あの人がひいきチームの監督だったら――。野球ファンなら誰しも一度はそんな夢想に胸を躍らせたことがあるだろう。現実感などお構いなしに、ただ野球ファンの妄想でコーチングスタッフを編成してみたらどんな豪華布陣が誕生するだろうか。今回は熱狂的な巨人ファンで知られるフリーアナウンサー・徳光和夫さんに「夢のジャイアンツ首脳陣」を考えてもらった。

徳光和夫さんに「夢のジャイアンツ首脳陣」を語ってもらった(写真提供:週刊ジャイアンツ)徳光和夫さんに「夢のジャイアンツ首脳陣」を語ってもらった(写真提供:週刊ジャイアンツ)

●監督
長嶋茂雄(元巨人)

 この企画の上では、なんとしても「第三次長嶋内閣」を実現したいと考えています。なぜ「ミスター」が愛されているかと言えば、私は「スキがあるから」だと思うんです。完璧な人間ではないからこそ、そこに親しみが生まれます。

 勝負師としてのカンや読みも素晴らしいものがあります。指揮官はどんなに分析力が優れていても、最後はカンだと私は思うんです。

 今年2月に丸佳浩選手と炭谷銀仁朗選手による将棋対決「G王戦」が話題になったように、チーム内で将棋が一つのブームになっています。それでは、かつてジャイアンツ最強の棋士は誰だったかと言えば、実は長嶋さんだったのです。あの大山康晴十五世名人をもうならせた、勝負カンの鋭い打ち手でした。

 事前にシミュレーションして分析しても、ゲーム中にそれを破棄して、その都度どういう手を打つべきかカンを働かせる。このあたりが長嶋ジャイアンツの魅力でもあり、強さでもあったのかなと感じます。

 巷間に伝わる、バントのジェスチャーをしながら「代打・土井(正三)」と交代を告げたエピソードについても、みなさんその後の話をご存知ないと思うんです。実は土井はあの後、バントをしたのではなく、バスターエンドランをしている。ボケたふりをして、実は作戦上手なところが長嶋さんにはあるんです。それは今の原辰徳監督にも継承されているんじゃないかなと感じます。

●ヘッドコーチ
王貞治(元巨人)

 ONで内閣を作るのが、私の夢だったんです。王さんは長嶋さんを尊敬してやまない人物。「世間はONと対等のように呼んでいましたが、私は長嶋さんがいたから今日があります」と語っていたこともありました。両雄並び立たずと言いますが、ONに関しては例外でしょう。

 王さんは若い人とも地位のある人とも分け隔てなく接する、平等な人格者です。ヘッドコーチは選手を平等に見なければならないでしょうし、選手からのリスペクトも必要不可欠です。

 王ヘッドなら、幅広い人材を生かせるはず。長嶋総理、王副総理のON内閣には夢があります。

●野手チーフコーチ
原辰徳(元巨人)

 もちろん現役監督であり、実績も十分なのですが、ON内閣なら官房長官は原さんが最適だろうと野手チーフコーチにさせてもらいました。

 監督としての原さんは人望が厚く、聞く耳を持っている指揮官だと感じます。そして、もしかしたら長嶋さん以上のプラス思考の持ち主です。

 原さんの考え方は真面目でも不真面目でもなく、「非真面目」とでも言いましょうか。新しい価値観を取り入れる柔軟性があるんです。

 また、選手の落ち度を報道陣の前でこき下ろすことなく、自分が矢面に立つ度量もある。選手は意気に感じて、実力以上の力を発揮してくれるはずです。

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