どうにかしたいオリックス攻撃陣。
ドラフト補強は恐怖感ありの強打者だ

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

チーム事情から見るドラフト戦略~オリックス編

 今年2月、プロ野球の春季キャンプを見て回る機会に恵まれた。なかでも印象に残っているのがオリックスで、とくにブルペンがやけに威勢よく見えた。

「若手ピッチャーの勢いだったら、12球団ナンバーワンじゃないですかね。150キロ投げるのが4~5人いますから」

 チーム関係者の声に背中を押されて足を運んだブルペン。山岡泰輔、山本由伸、榊原翼、K-鈴木、鈴木優、本田仁海、漆原大晟......若い投手たちがそれぞれのパワーを競い合うように、捕手のミットめがけて投げ込んでいた。ミットからは心地いい捕球音が鳴り響き、ブルペンは活気に満ちていた。

アマチュア球界屈指の長距離砲であるパナソニックの片山勢三アマチュア球界屈指の長距離砲であるパナソニックの片山勢三 今シーズン、山岡が13勝4敗で最高勝率(.765)、山本は8勝ながら防御率1.95で最高防御率のタイトルを獲得した。また、K-鈴木は山岡、山本に次ぐ19試合に先発登板して4勝をマーク。育成出身の榊原も13試合に先発し3勝を挙げるなど、若い力は着実に育っている印象を植えつけた。

 さらに、一軍登板はなかったが、ヒジの故障からカムバックした本田は、ウエスタン・リーグで再三150キロ台をマークするなど、来季の飛躍を予感させた。

 問題は攻撃陣だ。とにかく、今シーズンのオリックスは打ち負けた。

 チーム打率.242、得点544はリーグ最下位。だが、この数字以上に相手チームに与える"威圧感"という点で、西武やソフトバンクの打線にくらべて、かなり見劣りしていた印象が強い。

 打線のなかで相手投手に恐怖感を与えていたのは、わずか7厘足りずに森友哉(西武)に首位打者を譲った吉田正尚ぐらいではないか......。それほどシーズンを通して主軸を任された選手がいなかった。

 まさに孤軍奮闘の活躍を見せた吉田だが、腰に"爆弾"を抱えながら試合に出るのは、けっして楽じゃないはず。そんな吉田の心の支えになるような、頼りになるクリーンアップ候補がほしい。

 個人的には、来季2年目を迎える頓宮裕真がマスクを被って、クリーンアップに名乗りを上げてほしいと願っているが、それでもまだ足りない。なんとか今回のドラフトで、主軸を担える選手がほしい。

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