【自転車】片山右京が語るTeamUKYOの今。「山にたとえるなら三~四合目」 (4ページ目)

  • 西村章●構成・文 text by Nishimura Akira
  • 高木秀彰●撮影 photo by Takagi Hideaki

 現実的なチーム運営でいえば、ヨーロッパで活動を開始するときでも、日本と同じようにまずは小さな合宿所からスタートすることになるんでしょうね。やがて拠点になる施設ができて、監督カーやチームバスも置けるようになって、で、2年後くらいにはどこかのUCIレースでTeamUKYOが勝って君が代が流れました、ということが1~2レースあればうれしいですね。『プロコンチネンタルチームではあそことあそこが強いよ』といわれるなかにTeamUKYOが確実に入るような存在になって、ワイルドカードでブエルタ・ア・エスパーニャの出場権を獲得できたりした日には、『俺はもう、観光しにバルセロナへ行っちゃうよ』なんてふうに舞い上がってみたいですよ(笑)」

 さらにそこから、彼らが究極の目標と掲げるツール・ド・フランス参戦までの距離は、はたしてどれほどの道のりなのか。片山自身が「いつも雲のなかにある」と話すとおり、まだ見当もつかない、というのがおそらく正直なところではあるだろう。

 だが、現在も10年後もサイクルロードレースの世界最高峰は、日本国内からアジアへとTeamUKYOが大きな一歩を踏み出したその先に凜然と待ち受ける、峨々(がが)たる雄姿である――。

(完)

■遥かなるツール・ド・フランス~片山右京とTeamUKYOの挑戦~ 記事一覧>

プロフィール

  • 片山右京

    片山右京 (かたやま・うきょう)

    1963年5月29日生まれ、神奈川県相模原市出身。1983年にFJ1600シリーズでレースデビューを果たし、1985年には全日本F3にステップアップ。1991年に全日本F3000シリーズチャンピオンとなる。その実績が認められて1992年、ラルースチームから日本人3人目のF1レギュラードライバーとして参戦。1993年にはティレルに移籍し、1994年の開幕戦ブラジルGPで5位に入賞して初ポイントを獲得。F1では1997年まで活動し、その後、ル・マン24時間耐久レースなどに参戦。一方、登山は幼いころから勤しんでおり、F1引退後はライフワークとして活動。キリマンジャロなど世界の名だたる山を登頂している。自転車はロードレースの選手として参加し始め、現在は自身の運営する「TeamUKYO」でチーム監督を務めている。

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