2016.08.30

競技と人生。片山右京が語る
「世界で戦える者と戦えない者の違い」

  • 西村章●構成・文 text by Nishimura Akira
  • photo by AFLO

 だから、スピリットで負けていたり、情熱が大きく強くなかったら、絶対にもたない。たとえば、怒られてお尻に火がついたりすると、短期的にはよい結果を出すかもしれないけど、それだけだとやがてほころびが出てくるし、コツコツ努力を積み重ねている人には勝てない。365日のうち300日はずっと筋肉痛があって、それでも毎日苛酷な努力を続けるのはつらいかもしれないけど、その痛みに耐えられなければ、今度はむしろ自分のハートが痛む。そのハートの痛みを知っている人だけが、前に進むことができると思うんです」

 片山の考えるこの"強さ"とは、人が生きていくときの何か普遍的なものとも、通底するところがあるのかもしれない。

「これは片山右京的持論なんですけど、自分の弱さや駄目さを知らない人は、次のレベルにステップアップできないんです。一度、もう駄目だというところまで打ちのめされた経験のある人は、スイッチを切り替えたら、むしろスポンジみたいにいくらでも努力して向上できる。年齢や性別と関係なくね。だから、本当にコテンパンにやられてしまう前に、自分が駄目なことに気がつくべきなんです。そのほうがむしろ、遠回りをしなくてすむ。

 よく言われるような、『泣いた数だけ強くなる』みたいな話じゃないけど、そこはやはりきれいごとじゃなくて、苦労したり失敗を経験した人のほうが、強くてたくましいことが多い。『失敗したことありません』なんてカッコつける必要もないし、『体調が......』とか、『波が......』とか、言い訳をする必要もない。寝言は寝てから言えばいいんですよ。おじさんは厳しいこと言いますけどね(笑)」

(次回に続く) 連載『遥かなるツール・ド・フランス』は毎月下旬に掲載

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