【自転車】片山右京が語る「52歳で210kmを走った理由」 (3ページ目)

  • 西村章●構成・文・写真 text & photo by Nishimura Akira

 たしかに今年のTeamUKYOは、Jプロツアーで個人と団体の両タイトルを獲得したし、全日本(選手権)でも1—2フィニッシュできたし、活動4年目で経済産業大臣旗(輪翔旗・りんしょうき)を獲得できた。でも、いつも言うように、本当に大事なのはここから先じゃないですか。そこで待ち受けているものが今までと比べものにならないくらい大変で、厳しくつらいのはわかりきっている。

 自分は果たしてそれを我慢できるだろうか。これからいくつもやってくる難関を乗り越えていけるだろうか。今までいろんな人たちに支えてもらい、応援してもらっていた立場から、今度は自分が応援する側の立場に回ったとき、社会人として大人として人間として、苦しくても逃げずに皆を支えていけるだけの情熱が自分のなかにあるだろうか……。

 でも、今回完走してわかったのは、『うん、大丈夫だ』と。

 自分のなかにエネルギーは十分に残っているし、たとえたったひとりになったとしても、ツール・ド・フランスに行くまでこの事業を継続していける――という覚悟をあらためて再確認できました。今回、おきなわに参戦したことで、気持ちのなかでその線をビシッと引くことができたと思います」

 6時間で完走を果たしたツール・ド・おきなわを終えて、すでにしばらくの時間が経過したが、今でも毎日1時間は必ず自転車に乗っているという。今後も機会があれば、大きなレースに参加する意思や予定はあるのだろうか。そう訊ねると、片山は、少し考えるような表情を見せながら口を開いた。

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