【自転車】片山右京が語る「52歳で210kmを走った理由」

  • 西村章●構成・文・写真 text & photo by Nishimura Akira

「SUPER GTのレースでスポーツランドSUGOに行ったときは、空いた時間に蔵王に登って35km往復してきたり、鈴鹿のF1に行ったときでも夜に走れる場所を探してひたすら登りのトレーニングをして、メタボ化していた体重を10キロ落とした状態で臨んだから、(ツール・ド・)おきなわのレースでも登りはすごく快調だったし、楽に走れたんですよ。

 でも、練習量はやっぱり嘘をつかない。6時間のレースは自分にとって未知の領域だったけど、まあとにかく長くて暑くて、脚もつりっぱなしでした。だから走っている最中には、『自転車、パンクしねえかな』なんて言い訳を探している自分も、正直、いましたしね(笑)」

 だが、実はそうやってつらい思いを自らに科すことが今回の参戦の目的のひとつだったのだ、とも片山は話す。

「フェイスブックにもレース前に、これは自分に対する禊(みそ)ぎだとか、修行だとか、何回か書いたりしたんですが、要するにどういうことかというと、ツール・ド・おきなわに出る少し前のころ、実は自転車が少し嫌いになりかけていたんですよ。いろんなことが起こるたびに、スタッフに愚痴をこぼすようになってたり......。

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