【自転車】TeamUKYOにおけるエース・土井雪広の存在価値 (3ページ目)

  • 西村章●構成・文・写真 text & photo by Nishimura Akira

 また、そのような次世代を牽引する人材を育成することが、若い時代に自分の受けた恵みを世の中に恩返しすることにもなると片山は言う。

「僕自身、たくさんの人のおかげでF1まで行かせてもらえたけれども、その人たちは、僕が菓子折りや新車をお礼としてプレゼントしに戻ってくることなんか、いっさい期待していないわけです。その人たちに対するお礼として何ができるかといったら、彼らが僕たちにしてくれたように、今度は僕たちが次の人にチャンスを与えて才能を開花させ、育ってもらうことだと思うんですよ。

 年寄り臭いことを言うようだけれど、そうやってバトンタッチをしていくことで、才能が環流されて、次の世の中を背負うリーダーや経営者、あるいはチームの責任者というものが育っていく。土井君もそういう人材のひとりだと、僕は思っています」

 今年のTeamUKYOの強さは、選手たちがリーダーの土井を信頼し、彼を中心に結束していることがレースの好結果につながっている。今年6月の全日本選手権は、その歯車が万全の形で噛み合った結果といえるだろう。同様の有機的なチーム力の作用は、今シーズンのJプロツアーのレースでもさまざまな局面で発揮されてきた。

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