【自転車】J SPORTSプロデューサーが語る「ツールへの想い」

  • 西村章●構成・文 text by Nishimura Akira  photo by AFLO

「我々の放送形態は、観たい人にチャンネルを買ってもらう、という形じゃないですか。スポーツテレビ局だから、たとえば、『マイナーなスポーツはわかりやすく、メジャーなスポーツは深く』という考え方で番組作りを心がけてきました。中継開始当時に自分はかかわっていなかったのですが、『人気が出るかどうかはわからないけど、世界最大のレースだからやってみよう』というところからスタートしたと聞いています。日本では、ルールもあまり理解されていなかった割には、日本人好きする考え方(筆者註:エースを支えるアシストという存在や、不公正な展開に至らないための暗黙の紳士協定など)で競技が進められていることが、やがて5年・10年という時間をかけて少しずつ理解されるようになってきた、というのが現在の状況だと思います。

 だから、『だまされたと思って1回、観てみなよ』って知らない人にはいつも言っているんですが、実際、それ以上は言いようがないんですよ。とにかく興味を持ってもらうしかない。自分自身、もともと自転車レースの熱狂的なファンだったわけではないので、興味がない人の気持ちもよくわかるし、そういった人たちに興味を向けてもらうのがいかに大変か、ということもわかりますからね」

 3~4時間、ときに5時間ほどのライブ中継の大半が淡々とした展開になることも珍しくない自転車競技の特性上、その実況放送もまた、独特の工夫を要する、と升田氏は話す。

(次回に続く)

プロフィール

  • 片山右京

    片山右京 (かたやま・うきょう)

    1963年5月29日生まれ、神奈川県相模原市出身。1983年にFJ1600シリーズでレースデビューを果たし、1985年には全日本F3にステップアップ。1991年に全日本F3000シリーズチャンピオンとなる。その実績が認められて1992年、ラルースチームから日本人3人目のF1レギュラードライバーとして参戦。1993年にはティレルに移籍し、1994年の開幕戦ブラジルGPで5位に入賞して初ポイントを獲得。F1では1997年まで活動し、その後、ル・マン24時間耐久レースなどに参戦。一方、登山は幼いころから勤しんでおり、F1引退後はライフワークとして活動。キリマンジャロなど世界の名だたる山を登頂している。自転車はロードレースの選手として参加し始め、現在は自身の運営する「TeamUKYO」でチーム監督を務めている。

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