【自転車】J SPORTSプロデューサーが語る「ツールへの想い」 (3ページ目)

  • 西村章●構成・文 text by Nishimura Akira  photo by AFLO

 連日のステージは、欧州では夕方の5時ごろ――といってもこの時期は午後9時ごろまで陽が指しているので、感覚としてはむしろ昼下がりに近い――に終了するが、時差のある日本では、この時間帯は日付変更線をまたぐ夜中に相当する。夜の8時や9時ごろからこのゴール時間まで、毎年、全ステージをライブで中継を放送しているのがBSスポーツチャンネルの『J SPORTS』だ。

 1990年代には、フジテレビが地上波で夜中に録画放送を行なっていた時期がある。J SPORTSの中継は1990年代後期に放送がスタートし、やがて独占生中継を開始し現在の形に至る。現在の番組プロデューサーは、同局が放送をスタートさせてから3代目になる升田智晴氏だ。前任者から番組を引き継いだのは2009年。ちょうど新城幸也と別府史之の両選手が初参戦し、1996年の今中大介氏以来の快事として大いに盛り上がった年だ。この「新城・別府効果」は、同局のロードレース中継を視聴者に定着させるうえで大きな効果があった、という。

 現在では、ジロ・デ・イタリア、ツール・ド・フランス、ブエルタ・ア・エスパーニャ3大グランツールをはじめ、春や秋のクラシックレースなど、J SPORTSでは多くの自転車ロードレースのライブ中継を行なっている。だが、同局が放送を開始した当初は、日本では現在以上のマイナースポーツ扱いで、この「世界最高の自転車ロードレース」をいかに理解してもらうか――というところがスタート地点だった。

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