【自転車】J SPORTSプロデューサーが語る「ツールへの想い」

  • 西村章●構成・文 text by Nishimura Akira  photo by AFLO

 このツール・ド・フランスには、ワールドツアー全17チームとプロコンチネンタル5チームから各9名、合計198選手が参戦しているが、今年はその中に日本人選手の姿はない。2009年からほぼ毎年ツールに参戦を果たしてきた新城幸也(チーム・ユーロップカー)が、今年はチーム内のセレクションから漏れてしまったからだ。

 だが、たとえ日本人がその中にいなくとも、この世界最高峰のレースには綺羅星のようなスター選手たちがことごとく名を連ねている。なかでも、昨年の優勝者ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア/アスタナ・プロ・チーム)や、5月のジロ・デ・イタリアで総合優勝を達成して今回のツールで「ダブルツール」を狙うアルベルト・コンタドール(スペイン/ティンコフ=サクソ)、2013年ツールの覇者で昨年はケガにより途中リタイアとなったクリストファー・フルーム(イギリス/チーム・スカイ)、昨年24歳の若さでジロを制し、圧倒的な登坂力を世界に見せつけたナイロ・キンタナ(コロンビア/モビスター・チーム)たちは、今年の総合優勝を争う最有力候補だ。

 ツール・ド・フランスは世界190ヶ国で放送・配信され、視聴者数はのべ35億人に及ぶともいう。日本にいるとにわかには信じがたい数字だが、この季節にヨーロッパで生活をした経験があれば、日々の生活の中にこのレースが自然に溶け込んでいることを、皮膚感覚で感じ取ることができる。レストランやバルに行けば、店内のテレビは必ずといっていいほどツールにチャンネルを合わせている。大型スーパーに行けば、家電コーナーのテレビが競うようにツール・ド・フランスを放映している。日本でいうならば、高校野球や大相撲中継のような季節の風物詩、とでもいえばいいだろうか。

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