【自転車】片山右京が語る「チームのトップとしての悩み」 (2ページ目)

  • 西村章●構成・文・写真 text & photo by Nishimura Akira

 しかしその一方では、今回のレースに先だち、「(選手たちに対して)誠実でありたい、とは思っているんですよ」とも片山は話していた。

「でも、そうはいっても(選手の選別は)避けては通れない道だし、将来的にチームの規模を大きくして人数がもっと増えると、所属していてもレースに出られない――という場面はもっと増える。出場機会の少ない選手もしっかりとケアをして、彼らが成長できる環境を整えないと、チームそのものの実力が上がらない。だから、マネージメント側も試されているんです。すべてが、『雨降って地固まる』になればいいんですけど」

 近い将来のプロコンチネンタル化を目指すTeamUKYOにとって、選手・スタッフ・マネージメントのすべての面で規模を拡大して増強を図ることは、喫緊(きっきん)の急務といっていい。資質の高い若手選手たちを高いレベルで争えるように育成し、外部から強い選手を獲得して戦力を上げていくことと同様に、選手をマネージメントする片山たち自身も、今より数段上のレベルの組織を作りあげていかなければならない。

「理想を言えば、目の前に立ちふさがる壁は、ひとりひとりの情熱の力や愛で乗り越えていってほしいじゃないですか。たとえば、自分も努力しながら仲間を思いやって、みんなで力を合わせて結果を出して夢を掴む......といったふうにね。でも、特に若いうちは、自主性に任せるだけではなかなか思いどおりの結果を出せない。自分自身を振り返ってみても、実際にそうでしたからね。だから、甘さを排除するような何らかの厳しい枠組みを作ったほうがいいのかどうか......。それは今、僕自身がチームのトップとして、まさに悩みつつも考えているところなんです。

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