【自転車】開幕戦を制したTeamUKYO。その勝因は?

  • 西村章●構成・文・写真 text & photo by Nishimura Akira

 この大きな集団落車では、主力選手を失ってしまったチームもある中、TeamUKYOはほとんどの選手が先頭近辺を走行していたために難を逃れた。だが、住吉宏太が2回目の大落車の煽(あお)りを受け、リタイアを余儀なくされた。

 20周目の最終ラップを迎え、ほとんどの選手をトップグループに残していたTeamUKYOは、当初の戦略どおりに万全の体制で選手たちが次々と発射台(※)を構成した。最後はゴールライン手前で、パブロ・ウルタスンのリードアウトから窪木一茂が飛び出し、スプリント勝負を制して優勝を飾った。オムニアム(トラック競技)日本チャンピオンの窪木は、持ち味のスピード力を存分に発揮して収めた勝利に、「やっぱり、勝つとうれしいです!」と全身で喜びを表した。

※ゴール残り1キロを切るあたりからアシストの選手は発射台役として全力走行(数百メートルしか持たない無酸素運動)で集団から飛び出し、エースを牽引して勝たせる戦術。

「レースではみんなが固まって一緒に動いてくれたので、スプリントしやすかった。チームの力があったから勝てた。僕は最後の数百メートルを、ただ必死でもがいただけです。去年よりチーム力は断然、上がっていると実感しました」

 実は、窪木は今回のレース前から風邪をひいて体調が万全ではなく、レース当日も熱が治まらない状態だったという。

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