【自転車】片山右京「トラック全日本覇者がTeamUKYOを選んだ理由」 (2ページ目)

  • 西村章●構成・文・写真 text & photo by Nishimura Akira

「(移籍の決断は)やっぱり、土井さんという存在が大きかったですね。マトリックスには、土井さんのように8年間(2005年~2012年)もプロツアーチームで走ってきた選手はいない。でも、TeamUKYOにはいる。実は、大学時代にジャパンカップで土井さんと一緒に走る機会があって、そのときにいろいろと話を聞かせてもらい、『この人から、まだまだたくさんのことを学びたいな』と思ったことがあったんですよ。だから、沖縄で話をしたときに、それが現実になりそうだと思ったので移籍を決意した、というわけです」

 実際にTeamUKYOで1年間、土井とともに戦ったことで様々なことを吸収できた――と窪木はいう。

「TeamUKYOへ移籍して、本当に良かったと思います。土井さんは日本と海外のレベル差を知っているから、どういう走りをしなければいけないのか、何がダメなのかという、現実的で具体的な話をどんどんしてくれて、それが僕には非常にプラスになりました。土井さんは若手に対して本当にいっぱい言ってくれる人なんですが、それを厳しいと思ってへこたれているようじゃダメでしょうね。僕にとっては、得がたい存在です。

 いずれはヨーロッパで高いところを目指すのなら、練習方法にしろ、生活にしろ、知っておいたほうがいいのは当たり前じゃないですか。その意味でも、土井さんがいろいろ教えてくれたのは、すごく近道になったと思います。今までの自分の取り組み方は果たして良かったのかどうか、あるいは食事にしても、コンディションを維持するために何を食べるべきか、レース前には何を食べてはいけないのか、といったことも学べました」

 2014年で最も印象に残ったレースは、6月のステージレース「ツアー・オブ・イラン」だった、と振り返る。それはそうだろう。序盤ステージではシングルでフィニッシュし、総合上位を狙えそうな勢いだったが、4日目に他チームのチームカーに後ろから追突されて落車、リタイアを余儀なくされたのだから。

「初日はチームにトレインを組んでもらって、3位だったんですね。ホワイトジャージ(参戦選手の中で最上位のアジア人に与えられるジャージ)を獲得して、2日目はゴールスプリントに絡めなかったけど、3日目もいい感じだった。でも、4日目のレース中にチームカーにひかれて、リタイアしてしまった......」

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