2014.10.27

【自転車】片山右京「逝ったふたりに見せてやりたい」

  • 西村章●構成・文 text by Nishimura Akira 五十嵐和博●写真 photo by Igarashi Kazuhiro

 人は年を取れば、少しずつ考え方が変わっていくものだし、それと関連して、あとは自分の年回り、ということもあるかもしれないですけどね」

 片山が自分自身の過去を振り返ると、F1ドライバーになるという、およそ無謀な夢を抱き、それを実現させるために一心不乱に努力を続けていた時代には、その夢を笑い飛ばさずに耳を傾け、支え続けてくれた人たちがいた。だから、今度は自分が、遠大な夢を抱えながら悶々と努力する若者たちをできる限り支えてやりたい……という思いが、常に心のどこかにある。片山の言う「年回り」とは、そんな役割の巡り合わせを指しているのだろう。

「立場が逆転して、今度は自分が応援する立場になった。自転車の世界でも、自分たちが今、取り組んでいることを次の世代にバトンタッチできるところまで組織やシステムを作りあげ、その上に『哲学』の重しをしっかりと乗っけて、『存在意義』という紙で包装し、『はいよ、俺たちはここまでやったから、あとは君たちが考えろよ』と手渡す。それが、東京オリンピック後の余波が明ける2025年ごろかな、と考えています。

 僕らの仕事は、『2025年から先に何が必要になるのか、それを考えるのは君たちの仕事だよ』と、バトンタッチするところまで。そのときまでに、組織としてのチーム作りと、ビジネスとして成立するためのシステムを完成させ、さらに、『必要とされていなければ淘汰されてしまうんだよ』という哲学の部分も、しっかりと肉付けする。そしてそれは同時に、世界と日本のギャップを詰めてゆくためのツールを作りあげる作業でもあるんです」

(次回に続く)

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