【自転車】片山右京「ツール参戦までにクリアすべきこと」 (2ページ目)

  • 西村章●構成・文 text by Nishimura Akira photo by AFLO


「チームを設立して、今年で3年目ですよね。つまり今から2年前にその話を聞いたとき、『2017年に参戦』という目標設定はある程度のステップを踏めば可能かもしれない......と思いました。もちろん、非常に難しいだろうとも思いましたが、右京さんにはこれまでも難しいことをいくつも実現してきたという実績がある。さらに、従来の自転車競技界には足りなかった営業力や知名度、そして世界の頂点で戦ってきた経験があるので、非常に期待をしながら活動を見てきました」

 山口氏の当初の予想では、2年目で日本国内のタイトルを総ナメにし、3年目にツール・ド・フランスの下のクラスの大会で総合優勝をできるくらいの成績を収め、4年目にプロコンチネンタルチームの上位クラス、そしてその翌年(2016年)にグランツール参戦、というくらいのスピードで実績を積み重ねてゆくかもしれない、とも想像したという。

 設立2年目に日本タイトルを個人とチーム両方で獲得したところまでは、山口氏の予想とも一致する。だが、3年目の今年は、ボルタ・ア・ポルトガル(ポルトガル1周レース)など欧州の格式あるクラス1のレースに参戦を果たしたものの、そこで優勝するようなレベルには至っていない。

「ツール・ド・フランスはボルタ・ア・ポルトガルよりもまだ3つくらい上のレベルにある、というのが実際のところでしょう。ツール・ド・フランスに参戦しようと思うと、チームの実力として、プロコンチネンタルチームの中でも上位4番手くらいにつけているくらいでないと、とても難しいと思います」

 では、TeamUKYOが、ツール・ド・フランスとは言わないまでも、ヨーロッパのワールドツアークラスのレベルのレースに出場できるようになるまで、あと何年くらいかかると山口氏は見ているのだろうか。

「その前にですね、アルゴス・シマノ(現チーム・ジャイアント・シマノ)がプロコンチネンタルチームだった2012年、ブエルタ・ア・エスパーニャにワイルドカードで参戦したんですが、そのときに所属するジョン・デゲンコルプ(ドイツ)が区間5勝しているんですよ。ということは、ワイルドカード枠でなんとか出られたように見えても、実は、そのチームはすでに勝てるレベルにあるんです。つまり、プロツアーチームと同等レベルのプロコンチネンタルチームしか出る資格がない......ということ。これは相当難しいと思います。

 その難易度の高い目標を実現するためには、日本の選手だけでチームを揃えるのか。あるいは、金額がかかることかもしれないけれど、強豪選手を集めることで強いチームを仕立ててマネージメントしていくという方法もある。ただ、たとえお金でスター選手を雇ったとしても、チームの実が伴っていなければ継続していけないし、自国選手で揃える場合は、新城幸也や別府史之クラスが10人くらいいないと、とても勝負にはならないと思います」

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