【新車のツボ174】トヨタ GRヤリス。世界で唯一の公道を走るWRCカー (4ページ目)

  • 佐野弘宗●取材・文・写真 text & photo by Sano Hiromune

 GRヤリスには3種類のグレードがあるが、1.6リッターターボ+4WDという外せないツボなメカをもつのは写真の"RZ"と、それより60万円高い"RZハイパフォーマンス"の2種類である。GRヤリスのようなクルマを買う筋金入りマニアには、やはり最上級の"~ハイパフォーマンス"が人気らしい。その最上級グレードにはハイグリップタイヤと鍛造ホイール、それに合わせた少し硬めのサスペンション、強化ブレーキ、サーキットやダート走行で真価を発揮するリミテッドスリップデフ(LSD)、そしてスポーツシートなどが標準装備となる。これら専用装備ひとつひとつを計算すると、なるほどコスパも高い。

 ただ、エンジンや4WDなどの基本ハードウェアは両車共通だ。サーキット走行はせず、あくまで一般の高速や山坂道メインで楽しむなら、普通のRZのほうが日常的なドライブでのクセもなく、腹八分目くらいで走りを楽しむときのコントロール性も逆に高い。......なんて、GRヤリスは細かいグレード選びでもマニアなツボを追求したくなってしまう。

 現在、WRCでトヨタと総合タイトル争いをしているヒュンダイやフォードは、GRヤリスのようなクルマを市販していない。従来のWRカー規定でも、レギュレーション上は、ベース車両をこんな凝った内容にする必要はないからだ。それでも、トヨタがGRヤリスを出した最大の理由は"今はどこもつくっていない、こういうクルマをつくりたかった!!"という現場の純粋な思いだろう。今どき、こんなツボなクルマを世に出してくれただけで、トヨタには大感謝である。

【スペック】
トヨタ GRヤリスRZ
全長×全幅×全高:3995×1805×1455mm
ホイールベース:2560mm
車両重量:1280kg
エンジン:直列3気筒インタークーラーターボ・1618cc
最高出力:272ps/6500rpm
最大トルク:370Nm/3000-4600rpm
変速機:6MT
WLTCモード燃費:13.6km/L
乗車定員:4名
車両本体価格:396万円

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