【新車のツボ171】ホンダ e、内外装はおしゃれな昭和感でデジタル化。ご機嫌な走りも実現 (4ページ目)

  • 佐野弘宗●取材・文・写真 text & photo by Sano Hiromune

 EVといえば"一充電あたりの航続距離"が注目されるが、それを伸ばすためにバッテリーを増やすと、みるみる大きく重くなるのがEVの宿命でもある。しかし、ホンダ eは「街乗り専用セカンドカーに徹してこそEVは生きる」と、あえて後続距離を259km(WLTCモード)に割り切っている。たとえば日産リーフのそれは同モードで322~458kmだから、明らかに短いが、だからこそホンダ eは小さく軽くなり、走りがすこぶる楽しくなった。

 また、この種の小型量産EVは普通のコンパクトカーと兄弟にしてコストダウンするのがお約束のツボのはずだが、ホンダeは全身が完全EV専用設計である。だらこそ、どこにも無駄がなく、これだけクリーンでキュートなデザインが実現できたともいえる。

 ホンダ eのサイズや航続距離(≒バッテリー容量)を考えると、400万円台後半という価格は安くない。しかし、全身専用新開発にして、これほど凝った内容では「それでも利益はほとんど出てない!?」と余計な心配をしたくなる。昨今のホンダは本業の四輪事業が儲からないことが最大の悩みだそうだ。その営業利益率はコロナ前でも1.9%で、赤字ではないが業界の健全レベルといわれる5.0%に遠く及んでいなかった。ホンダがF1から手を引いた本当の理由も、この儲からない企業体質にメスを入れたから......と一部でささやかれる。

 ただ、われわれユーザーから見れば、その利益度外視(?)の心意気こそがホンダの魅力であり、買い得きわまりないクルマ......である。ホンダ eも絶対的には安くないけど、それを補ってあまりあるツボにあふれている。

【スペック】
ホンダ e アドバンス
全長×全幅×全高:3895×1750×1510mm
ホイールベース:2530mm
車両重量:1540kg
モーター最高出力:154ps/3497-10000rpm
エンジン最大トルク:315Nm/0-2000rpm
変速機:1AT
一充電最大走行距離(WLTCモード):259km
乗車定員:4名
車両本体価格:495万円

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