【新車のツボ169】アルピーヌA110。意外なほど尻軽感がたまらない

  • 佐野弘宗●取材・文・写真 text & photo by Sano Hiromune

 こういうエンジンを後ろに置くタイプは、タイヤが滑ってしまったときの運転が、一般的なエンジン前置きタイプよりはるかにむずかしい。よって、このタイプの市販スポーツカーは「後輪だけは絶対に滑らせないぞ!」とリアタイヤの安定感・安心感を最優先に設計するのがお約束である。

 しかし、アルピーヌはそんな世間一般のツボとは対照的に、意外なほど"尻軽"な感じにヒラヒラと曲がるようにセッティングされている(実際にリアタイヤがズルズル滑るわけではないけど)。しかも、乗っている人間に伝わる"手のウチ感"が失われることがなく、スピンしそうな恐怖感もほとんどないのがまた驚きだ。じつは、これもまたクルマが軽い......というツボのおかげなのは間違いない。

 ドイツや日本の競合車が大地を踏みしめるように走るスポーツカーだとすれば、とにかくハネが生えたように軽快なアルピーヌは日"チョウのように舞い、ハチのように刺す"スポーツカーといえる(どっかで聞いたことのある表現ですね)。ワタシは元祖アルピーヌA110も運転したことがある(これはちょっと自慢です)が、同世代の他社スポーツカーと比較すると、元祖もやっぱりエンジンはショボめで軽さが武器だった。アルピーヌはこういう真のツボまで、ちゃんとリバイバルしている。

【スペック】
アルピーヌA110 S
全長×全幅×全高:4205×1800×1250mm
ホイールベース:2420mm
車両重量:1110kg
エンジン:直列4気筒DOHCターボ・1798cc
最高出力:292ps/6420rpm
最大トルク:320Nm/2000rpm
変速機:7DCT
WLTCモード燃費:12.8km/L
乗車定員:2名
車両本体価格:899万円

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