【新車のツボ169】アルピーヌA110。意外なほど尻軽感がたまらない (3ページ目)

  • 佐野弘宗●取材・文・写真 text & photo by Sano Hiromune

 今回の取材車であるアルピーヌA110の"S"は、標準のA110よりエンジン性能をさらに引き上げて、サスペンションのバネ類を1.5~1.6倍も引き締めてあるという。しかし、その乗り味は意外なほどしなやかで、そして乗り心地は驚くほど快適である。

 アルピーヌA110Sはそれなりに高性能な本格スポーツカーの、しかもハードコア仕様である。なのに、これほど柔らかい味つけにできるのは、やはり車重が軽いからだ。さらに重心も低いので、サスペンションをガチガチに固めなくても路面にピタリと水平にへばりつくし、ゴリゴリの高性能タイヤでなくてもグリップ限界は十分に確保できるのだ。

 また、アルピーヌはエンジンをリアタイヤ直前に搭載するミッドシップというレイアウトを採る。元祖アルピーヌA110(下写真の右。左隣はもちろん現代版で、こうして並べると元祖はメチャ小さい!)も、エンジンを車体の後半に置くという意味では、現代版アルピーヌと同じだ。まあ、元祖のほうはエンジンがリアタイヤのさらに後ろに積まれるので、厳密にはミッドシップとはちょっとちがう。しかし、"運転席の背後にエンジンを置く後輪駆動車"という本質は新旧アルピーヌでほぼ同じと考えていい。

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