【新車のツボ162】ボルボXC40。小粒でもピリリとイケてるSUV (3ページ目)

  • 佐野弘宗●取材・文・写真 text & photo by Sano Hiromune

......と、ボルボはハードウェアを(他社間ではなく自社内で)徹底的に共通化して、ムダを省いている。超複雑な技術が必要な環境対策にはコストがかかるが、最近は自動車部品メーカーも巨大化しており、技術開発をまるごと請け負うケースも多い。ボルボはそうした今風のアウトソーシングも巧妙に活用する。

 そのいっぽうで、ボルボはみずからの伝統である安全や自動運転にだけは、ふんだんにコストをかけてほかにない独自の技術を追求している。ボルボは世界の安全テストではほぼ間違いなくクラストップの成績を取り続けているし、自動ブレーキや自動運転系の先進安全技術はXC40でも上級モデルとなんら差別されていない。レーダークルーズコントロールとレーンキープ能力による半自動運転は今や軽自動車にも普及した技術だが、その車間距離の取りかた、追い越し時や割り込まれたときのリアルな所作......では、ボルボはさすが見事というほかない。

 そして、魅力的な商品づくりの最大のツボであるデザインでも、ボルボは"北欧デザイン"というだれもにわかりやすい道を見つけたように思える。実際、XC40も同クラスのドイツ車ほどエラぶらず、ムダな線がまるでないクリーンな造形なのに、どの世代の人間が見てもボルボにしか見えず、遠くから見ても近くで見ても、ちゃんと高級車である。

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