【新車のツボ161】N-VAN。前代未聞のおひとりさま専用ホビーカー (4ページ目)

  • 佐野弘宗●取材・文・写真 text & photo by Sano Hiromune

 また、N-VANは他社の軽商用バンより運転姿勢が明らかに自然で楽だし、静粛性や高速直進性は高く、比較的軽量なので動力性能も想像以上に力強く、さらに自動ブレーキやレーダークルーズコントロール、車線維持機アシストなど、最新の運転支援技術も充実している。......といったNシリーズ全体で技術を共有するN-VANならではのツボは、乗用車的に使ったときの軽商用バンの弱点そのものでもある。こうしたポイントも、ホビーカーとしてのN-VANがハマるツボといえる。

 ただ、N-VAN最大の弱点......というか宿命は、床下収納を第一に設計された助手席や後席のシートが、あまりにも平板でサイズも小さく、安全性や快適性にも大きく不安があることだ。正直にいうと、法的には人間が座っても違反ではないが、友人や家族を座らせる気にはとてもならない"罰ゲーム椅子かよ?"というべきシロモノである。

 このツボはもちろん、ホンダも最初から承知のうえであり「N-VANはおひとりでお使いください」が明確なメッセージである。......といった弱点はあるものの、それを逆手に取って"自分の世界に没頭できるワンルームグルマ"として使うなら、これほどズバッとツボを射抜いているホビーカーもほかにない。

【スペック】
ホンダN-VAN +スタイルファン・ターボ・ホンダセンシング
全長×全幅×全高:3395×1475×1945mm
ホイールベース:2520mm
車両重量:970kg
エンジン:直列3気筒DOHCターボ・658cc
最高出力:64ps/6000rpm
最大トルク:104Nm/2600rpm
変速機:CVT
JC08モード燃費:23.6km/L
乗車定員:4名
車両本体価格:169万9500円

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