【新車のツボ158】トヨタ・スープラ。賛否両論クセ感ありのスポーツカー (3ページ目)

  • 佐野弘宗●取材・文・写真
  • text & photo by Sano Hiromune

 これらはノーマルではまったく不要な冷却口で、空力の悪影響を及ぼさないためにピタリとふさいである......のだが、チューニングやカスタマイズでより高い冷却性能が必要となったときに、部品をはずすだけで通気口となることを想定している。「スポーツカーなんだから、どうせイジりたくなるでしょ!?」というトヨタからの隠れたサービスというわけだ。

 新型スープラに乗ってみれば、運動性能の本質というか、クルマの芯の部分にZ4との共通点が色濃く感じられる。しかし、いっぽうでエンジンの排気音はトヨタのほうがいい意味で下品だし、Z4より軽い操作力でクルクル曲がりたがる味つけは、弟分のトヨタ86(第31回参照)にも共通するトヨタっぽさがにじみ出ている。

 ちなみに、トヨタ純正の歴代スープラはずっと直列6気筒エンジンを積んでいることから、新型スープラでも6気筒を積むトップグレードが"歴史的には正統な新型"という位置づけになる。しかし、新型スープラの味つけを直接担当したトヨタのトップテスターたちはほぼ例外なく、4気筒エンジンを積んだSZ-Rグレード(写真のクルマ)が「ハンドリングだけで選ぶなら」と注釈をつけつつもイチオシする。なるほど、BMWよりクルクル曲がることが信条の新型スープラでは、フロントがより軽くなる4気筒のほうが、コーナリングもより軽快で"らしい"という意味だろう。

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