【新車のツボ156】歴代最高のZ4。ミドル級スポーツカー希望の星 (3ページ目)

  • 佐野弘宗●取材・文・写真
  • text & photo by Sano Hiromune

 新型Z4と新型スープラの具体的なちがいについては、BMWもトヨタもお互いの詳細を語らないのは契約や紳士協定によるものだ。ただ、両車の実物や(トヨタ側の)担当者の言葉から想像するに、2台それぞれ独自のツボは、内外装の目に見える部分のデザインと、最終段階の味つけのようだ。

 もちろんZ4がソフトトップのオープンカーで、スープラがクローズドボディのクーペ......という目に見える大きなちがいはある。ただ、逆にいうと基本ハードウエアの差異はそこだけ。ボディ骨格構造、エンジン、変速機、サスペンション、タイヤ、そしてホイールベースやトレッドなどのシャシーのディメンション......といったハードウエアはあくまでBMWが設計開発して、それがスープラと共通化されている。そのうえで、足回りのスプリングとダンパー減衰力、エンジンやオートマの制御プログラム、そして上級モデルに備わる電子制御デフや可変ダンパーの制御プログラムを、BMWとトヨタでそれぞれ独自に調律したという。

 Z4とスープラをそれぞれ短時間試乗した印象でいうと、いかなる場面でもステアリングが敏感に利きまくるスープラに対して、Z4は表面的にはよりマイルドな操縦性である。Z4は低速ではスープラほど過敏ではないが、しかるべきムチを入れると戦闘力があらわになる......といった、より大人っぽい味わいがBMWのツボといえばいいだろうか。

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