【新車のツボ154】スズキ・スーパーキャリィ、免許に優しい無敵のアシグルマ (3ページ目)

  • 佐野弘宗●取材・文・写真 text & photo by Sano Hiromune

 ところで、この種のビッグキャビン軽トラはもともとダイハツが5世代(35年以上)にわたってつくっているハイゼットジャンボ(下写真)が元祖だが、機を見るに敏なスズキがこのタイミングで新開発するとは、やはり、軽トラブームがいよいよホンモノである証明なのかもしれない(希望的観測を含む)。

 こうして軽トラ唯一の弱点も解消したスーパーキャリイを東京で乗り回してみると、それはもう目からウロコが落ちまくる! 車重は普通のキャリイより80kg重いのだが、それでも普通の軽乗用車よりはハッキリ軽い。そのうえギア比も350kgという最大積載量と一般道のスピードに特化した低い設定なので、空荷だと走りは驚くほど活発で力強い。

 誤解を恐れずに言えば、軽トラの限界性能は普通の軽乗用車より目に見えて低い。たとえば、交差点やちょっとしたカーブを曲がるときでも、油断するとすぐに外側にふくれてしまう(=アンダーステア)し、曲がっている最中にアクセルを不用意に踏むと、思ったより早く後輪がブルっと滑ったりもする......のだが、それと同時に「軽トラはスポーツカーだ」と直感してしまったのも事実である。

 軽トラはたしかに舗装路での限界性能は低いし、活発な動力性能もエンジン性能ではなく車体の軽さと低いギアで稼いでいるので、基本に忠実な運転が必要である。軽トラをスムーズにキビキビと気持ちよく走らせるには「カーブの手前できちんとスピードを落とす」とか「速度に合わせた適切なギアを選ぶ」あるいは「いかにステアリングを切る量を少なくして、クルマを失速させないか」といった運転のツボがなにより大切で、それをハズしてしまうと笑ってしまうほど走りが鈍るのだ。

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