【新車のツボ152】アウディRS3セダン。民主的に味わえる猛速に感服 (3ページ目)

  • 佐野弘宗●取材・文・写真 text & photo by Sano Hiromune

 しかし、RS3の心臓はそれより1気筒多い5気筒ターボで、排気量は2.5リッター。ちなみに5気筒ターボは、はるか昔の1980年代にラリー界に4WDを持ち込んだ歴史的な"スポーツクワトロ"や90年代の"初代RS(=RS2アバント)"にも使われており、アウディ的には由緒たっぷりのエンジン形式だ。

 そんなエンジンに最新の直噴ターボ技術を注ぎ込んだRS3のエンジンはじつに400馬力!! このコンパクトな車体に400馬力という組み合わせは、さすがに歴史的にもほとんど前例がない。そんなRS3を目の前にしたら「本物のTCRはさあ......」なんて重箱のスミをつつくより、素直に「伝説のアウディ! 400馬力!! クワトロ!!!」と狂喜乱舞するのがクルマオタクの正しい姿だろう?

 さらにTCRマシンのような本物のレーシングカーには不要の電子制御可変ダンパーまで備えたRS3は、当たり前だが、乗り味もTCRマシンとは別物だ(と思われる。なにせTCRマシンには乗ったことがないので......)。とくにそれを柔らかいコンフォートモードにすると、RS3はまるでトヨタ・センチュリーを思わせる快適な乗り心地を披露する。また、400馬力はなるほど怪物的なパワーだが、RS3ではそれをクワトロが4本のタイヤに見事に配分する。だから、アマチュア運転手が舗装路でアクセルを踏み込んだくらいでは、RS3が乗り手にキバをむいたり、いきなりタイヤが滑って不安定になったりはしない。

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