【新車のツボ150】スズキ・ジムニー。武骨で古典的が逆に新鮮⁉ (3ページ目)

  • 佐野弘宗●取材・文・写真 text & photo by Sano Hiromune

 このように新型ジムニーはフルモデルチェンジしたのに20年前と変わらず......どころか、四輪駆動やボディ設計などにおいて、あらためて"先祖返り"すらしているのだ。

 そんな笑ってしまうほど古典的で、ゴリゴリに質実剛健なツボが満載のジムニーを、今ハヤリのSUVなどと呼ぶのは気が引ける。言わば昔ながらにして筋金入りの"オフローダー"そのもので、乗っても「現代の乗用車としてどうなのよ!?」なツボも正直いって多い。

 小さいわりに目線が高いのは街中ではすごく乗りやすいものの、乗り心地は前後左右にユッサユッサ揺れ続けるし、いかにも空気抵抗が大きそうな見た目どおり、燃費もけっしてホメられたものではない。まあ、日常づかいに困ることはないが、「こんな特殊でマニアックなクルマがバカ売れって......」と他人事ながら心配になるのも本音である。

 日本で販売されるジムニーには軽自動車(以下、軽)版の"ジムニー"と白ナンバーの"ジムニーシエラ"の2種類が用意される。軽は日本独自の規格なので軽ジムニーは日本専用商品。海外では日本でいうシエラが普通のジムニーとして売られている。

 そのシエラにしても、軽ジムニーよりトレッド(=左右の歩幅)が幅広くなって、エンジンが1.5リッターになる以外は、実質は軽ジムニーと同じクルマだ。幅広くなったトレッドはご覧のように後づけ風オーバーフェンダーと大型バンパーでカバーするだけで、基本のボディデザインは軽ジムニーとなんら変わりなく、室内が広くなるわけでもない。

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