【新車のツボ148】三菱エクリプスクロス。伝統の味はこれで最後か!? (3ページ目)

  • 佐野弘宗●取材・文・写真 text & photo by Sano Hiromune

 走りもしかり。エクリプスクロスはパッと見は"舗装路専用"みたいな雰囲気を出しつつも、路面の凹凸は柔らかにいなして、ステアリングの反応もマイルド。いい意味で昔ながらのSUVらしい癒し系の乗り心地である。

 エクリプスクロスは三菱という企業のフトコロに余裕があるとはいえないなかで開発されたこともあってか、エンジンこそ新開発だが、久々の新型車のわりにそれ以外に技術的な新機軸は少ない。クルマの土台=いわゆるプラットフォームはRVR(第29回参照)などとも共用しており、それこそダイムラークライスラー提携時代に開発されたもの......である点には、三菱という会社の事情もうかがえて、少しばかりしんみりしたりもする。

 ただ、そうして会社そのものが大揺れする最中に開発されただけに、エクリプスクロスは「三菱とはなんぞや?」を自問自答しながら開発されたフシがある。

 普通では、いい意味でおとなしい乗り心地なのに、積極的にアクセルを踏むと水を得た魚のようにグイグイ曲がっていく......という豹変系の味わいには、さすが砂漠のパリダカのみならず、舗装路での速さも必要な世界ラリー選手権で鳴らした三菱のツボだろう。

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