【新車のツボ142】スズキ・エスクード、コンパクトSUVの元祖なのだ (2ページ目)

  • 佐野弘宗●取材・文・写真 text&photo by Sano Hiromune

 初代エスクードの発売は今から約30年前。まだ"SUV"という言葉すらなく、オフローダー系のクルマは"クロカン"とか"ヨンク"と呼ばれていた1988年のことだ。昔から軽ヨンクのジムニーをつくっていたスズキとしては、エスクードは"ジムニーの兄貴分"という自然な着想の商品企画だったのだろう。

 しかし、当時のヨンクにはトラックベースの大きなものしか存在しなかった。そんな時代に突如として出現したエスクードは"ちょうどいい小ささの、可愛いヨンク"として日本のみならず、せまい道が多いイタリアあたりでも大ヒット。欧州ではちょっとしたカリスマ的な存在にまでなった。

 その後、90年代に入ると、そんなエスクードの絶妙なサイズ感に、軽量でカジュアルな乗用車設計を組み合わせたトヨタRAV4やホンダCR-Vが登場。これらはいつしか"ライトクロカン"と総称されて、日本や欧州、そしてアメリカでも、街乗りにも便利なお手軽レジャーカーとして認知......というのが、今をときめくコンパクトSUV史である。

 以前はメカニズムも本格ヨンクっぽい古典派だったエスクードも、この最新型の基本骨格はエンジンを横置きするFF乗用車がベース。つまり、いかにも今どきコンパクトSUVそのものの機械内容なのだが、そこは歴史のあるカリスマだけに、ぽっと出の"見かけだけヨンク"とは一線を画す。

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