【新車のツボ136】ルノー・トゥインゴ、人もクルマも見た目でしょ? (3ページ目)

  • 佐野弘宗●文・撮影 text&photo by Sano Hiromune

 トゥインゴは安いクルマなので、中身はどうってことはない。どうヒイキ目に見ても、悪くはないが、感動的にいいクルマでもない。唯一賞賛すべきは、大量販売を見込めない日本で最上級グレードでも200万円切り......という破格に良心的な値づけをしてくれたルノージャポンの心意気だろう。

 そうはいっても、トゥインゴはトランク下にエンジンを積んで、後輪を駆動する"RR"という構造が個性的である。現在のクルマ......とくに小さなクルマほど、フロントエンジン+前輪駆動の"FF"が常識中の常識で、トゥインゴもこれまでの2世代はFFだった。

 新しいトゥインゴがRRなのは、今回から独ダイムラーのスマート(は歴代ずっとRR)と共同開発であることも理由だが、トゥインゴに乗ると「小さなクルマ=FFという常識は、そもそも、もう古い?」と思わなくもない。

 なるほど、トランクがやけに浅い、見た目のわりに後席がせまいなどはRRのデメリットである。しかし、いっぽうで、フロント周辺からゴチャゴチャしたエンジンや駆動系がなくなっているので、前輪はビックリするほどよく切れて視界が"横っ飛び"するくらい小回りがきくし、運転席は後席とは対照的に広々としている。あらためて考えると、「普段は1〜2人乗り+手荷物」という日常的ゲタグルマ用途には、RRのほうがメリットが多い気がしてくるのだ。

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