【新車のツボ129】トヨタ・プリウスPHV生命力が強い雑食プリウス (2ページ目)

  • 佐野弘宗●文 text by Sano Hiromune photo by TOYOTA


 クルマの環境問題をつかさどる役所の本音は「1日も早く、クルマをすべて純粋な電気自動車(以下EV)にしたい!」である。クルマが全部EVになれば、CO2や大気汚染問題を、少なくともクルマからは完全になくすことができるからだ。先ごろのディーゼル排ガス偽装スキャンダルや、三菱の燃費偽装問題も、EVなら起こるはずもなかった。

 しかし、ご承知のように、今のEVがすぐに世界のクルマの主力になると考えるのは非現実的。なので、「せめて少しでもEVに近いPHVを......」と、現在の北米とEUはPHV推進にカジをきった。これまでのハイブリッドやディーゼルなど、燃費がいいだけ(!?)のエコカーは、今までのように優遇されなくなりつつある。

 プリウスPHVは今回で2代目だが、先代が実質的に「充電できる"だけ"のプリウス」だったのに対して、新型は充電できる"うえ"に「ちょっといいプリウス」になった。これなら、普通のプリウスより高くなってしまう価格も、まあ納得できないこともない。

 新型プリウスPHVは満充電EV走行距離が60km/h以上(先代はJC08モードで26.4km)になったことで、「日本の普通の自家用車ユーザーなら、日常的にほとんどガソリンがいらないかも!?」と素直に思えるレベルになった。しかも、普通のプリウスは2基のモーターを走行専用と発電専用で使い分けているが、PHVではEV走行で2基とも動力に使うことで、純粋なEVとしてもけっこう速いクルマになった。体感的にはあの日産リーフと同じくらい......ということは完全にEVとしても不足ない性能となった(走行距離は短いけど)。

2 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る