【新車のツボ125】スズキ・バレーノ、和製ガイシャ、ここにきわまる (2ページ目)

  • 佐野弘宗●取材・文・写真  text&photo by Sano Hiromune

 まあ、バレーノはおそらく、アジア市場でスイフトに飽き足らないプチ富裕層をねらうのを主な任務としつつ、先進国ではいっぷう変わったニッチ商品を想定するのだろう。

 インド製といっても、当たり前だがクオリティは(ほぼ)問題ない。スズキのインド工場は以前から欧州向け商品もつくっている。

 ただ、たとえば内装の表面処理などに昭和的な古めかしさが残るのは、現地サプライヤーの技術レベルの都合もあるのかも。日欧などの先進国向けなら、こういう部分はあえてポップなデザインにして、安っぽさを逆手に取ったりもする。しかし、アジア市場では、コンパクトカーも真正面からカッコよくて高級感あるデザインが必須。ヒネリすぎたデザインはまだ受け入れられにくいのだ。

 走りはフツーに良い。これはホメ言葉である。クルマオタク目線でも「フツーに良い」と思わせてくれる日本車はけっこうレアだ。

 バレーノの乗り心地はそれなりに柔らかいのにコシがある......というか、コツコツと硬質な面がありつつも、サスペンションの動きはたっぷり。ステアリングもスローな設定で、微妙な運転操作のブレをクルマ側で吸収してくれる身のこなしはゆっくりだけど、反応は正確。さらに高速でスピードが出るほど、さらにヒタッと落ち着いて、ステアリングに手を添えるだけでピューっとまっすぐ走る。

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