【新車のツボ108】ジャガーXE試乗レポート

  • 佐野弘宗+Sano Hiromune+●取材・文・写真 text&photo by

 今夏に日本上陸したXEは、もっとも新しく、もっとも小さいジャガーだ。サイズや価格はBMWの3シリーズ(第37回参照)と同格で、世界的にもっとも売れ筋のクラスでもある。

 ジャガーのような高級車ブランド世界は現在、BMW、メルセデス、アウディという"ドイツ御三家"が牛耳っているが、これらドイツ御三家は大中小(3機種)のセダンをそろえるのが定石。このXEの登場で、英国ジャガーもXE、XF(第38回参照)、XJ......と、3種類のセダンがならぶことになった。

  もっとも、ジャガーがこのクラスを出すのは初めてではなく、前身のXタイプから約7年ぶりの復活である。ただ、Xタイプは当時の親会社だったフォードをベースとした前輪駆動(と4WD)で、ハッキリいってヒット商品とはいえず、だからこそ続かなかった。新しいXEはそのリベンジでもあるわけだ。

 以前のXタイプがちょっとクチ悪くいうと"フォードの高級版"でしかなかったのに対して、新しいXEは骨の髄から純血のジャガーであり、このクラスではお約束のツボともいえる後輪駆動レイアウトを採る。しかも、XEのボディは75パーセントが軽量なアルミ合金製。最近のクルマづくりで軽量化は絶対にはずせないツボであり、アルミ比率はジャガーにかぎらず上昇するいっぽうだが、XEのアルミ使用率はこのクラスでトップである。

 内外装デザインもお馴染みのジャガーのお約束を徹底して守っていて、正直いうと、新鮮味がないかもしれない。ただ、鼻先が長くてベタッと低い全高に猫背スタイル、囲まれ感のある運転席......と、「セダンなのにスポーツカーみたい」というオーラは素直にカッコいい。なんだかんだいって、クルマのカッコよさのツボというのは昔から変わっていない。ましてセダンのような古典的ジャンルなら、なにより基本文法を守るのが、カッコいいクルマをつくる最強のツボというものだ。

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