【新車のツボ105】マツダ・ロードスター試乗レポート (2ページ目)

  • 佐野弘宗+Sano Hiromune+●取材・文・写真 text&photo by

 現時点で、ロードスターの走り味は大きく3つに分けられる。もっともスポーティな"スペシャルパッケージのMT車"は水平基調に路面にへばりつく比較的モダンなスポーツカー的といえるタイプ。これと比較すると、オートマ車(スペシャルパッケージとレザーパッケージ)はグレードを問わずに穏やかで快適である。

 そして、前述の"S"は、ステアリングを切ると即座にクターッと傾いて、それなりにフワフワするのだが、4本のタイヤが路面にヒタッと吸いついた実感がなんとも濃ゆい。Sは青筋を立ててコーナーを攻めたい気分だと、ちょっと物足りない場面も少なくないのだが、オープンにして景色を楽しみながら70〜80%のペースで走ると、なんともホッコリする癒し系といえばいいだろうか。

 こういう味つけのツボは、たまたまではなく、もちろん確信犯である。とくに初代ロードスターをリアルタイムで知る中年オタク(ワタシのことだ!)には、Sの「クターッと走って、ジワーッと沁みる」味わいがいちばんツボにくるんだよなあ。

 とはいっても、新型ロードスターは現時点でエンジンもタイヤも全部共通なので、これらはあくまで微妙な、本当にかすかな味つけのちがいでしかない。ロードスターやスポーツカーに漠然とした興味しかお持ちでない人には「なんのこっちゃ!?」であることは承知のうえだ。

 ただ、こういう重箱のスミをつっつくようなオタク話を、ファミレスあたりで同好の士と延々と繰り広げたくなるのが、全身ツボだらけのロードスターでも、最大のツボなんである。


【スペック】
マツダ・ロードスター S
全長×全幅×全高:3915×1735×1235mm
ホイールベース:2310mm
車両重量:990kg
エンジン:直列4気筒DOHC・1496cc
最高出力:131ps/7000rpm
最大トルク:150Nm/4800rpm
変速機:6MT
JC08モード燃費:17.2km/L
乗車定員:2名
車両本体価格:249万4800円

プロフィール

  • 佐野弘宗

    佐野弘宗 (さの・ひろむね)

    1968年生まれ。新潟県出身。自動車評論家。上智大学を卒業後、㈱ネコ・パブリッシングに入社。『Car MAGAZINE』編集部を経て、フリーに。現在、『Car MAGAZINE』『モーターファン別冊』『ENGINE』『週刊プレイボーイ』『web CG』など、専門誌・一般紙・WEBを問わず幅広く活躍中。http://monkey-pro.com/

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