【新車のツボ88】トヨタ・プロボックス/サクシード試乗レポート (2ページ目)

  • 佐野弘宗+Sano Hiromune+●取材・文・写真 text&photo by

 これには時代の変化も大きい。かつてはライトバンも配達や納品などに荷物満載で使われることが多かった。しかし、物流の集約・効率化(いわゆるロジスティクス)が進んだ現在は、ライトバンに乗る営業マンが大荷物を運ぶケースは激減。2014年のライトバンにもっとも求められるのは「1日中クルマで走る営業マンの快適性と使い勝手」なのだろう。

 新しいプロサクで乗り味以上に激変して、しかもマニアのツボをさらに刺激してやまないのが、運転席まわりの使い勝手である。2002年発売時のプロサクのコクピットでは、たとえば紙伝票をササッと記入するための小さなメモテーブルやペンホルダー、そしてペットボトルホルダーなどが目立っていた。

 しかし、新しいプロサクのそれは従来とはまったく異なる。この2014年仕様のプロサクでは、特等席にスマホホルダー(その直下にきちんと充電用電源も備わる)が鎮座して、テーブルはコンビニ弁当ドンピシャのサイズに拡大。そして、いわれてみれば意外と置き場所に困るアタッシェケース/手提げバッグも、センターコンソールにピタリと置けるようになり(これは宿敵の日産ADバンの真似だけど)、フロントシートは"昼寝"に最適な角度まで倒せるようになった。

 さらに傑作なのが、メインのドリンクホルダーは1リッター紙パック仕様(!)になったこと。なるほど、1リッター(1日分?)の飲み物は、ペットボトルより紙パックのほうが安価で、昨今の営業マンには紙パックが大人気なんだとか。これぞ生活の知恵!

 まあ、プロサクには、いわゆる文系オシャレデザイナーの考える"カッコよさ"の要素は、これっぽっちもない。しかし、今どきの営業マンの生態を徹底研究して作られたプロサクの武骨な造形が、いつしか"機能美"に見えてくるから不思議である。

 ここでも何度も書いているが「クルマをとことん使い倒したい!」と思うなら、そこいらの軟弱(?)なワゴンにダマシダマシ乗るより、こういうお仕事グルマのほうが、いさぎよく満足度も高いし、使うほどに目からウロコが落ちる......というものだ。

【スペック】
トヨタ・サクシードUL-X
全長×全幅×全高:4245×1690×1525mm
ホイールベース:2550mm
車両重量:1090kg
エンジン:直列4気筒DOHC・1496cc
最高出力:109ps/6000rpm
最大トルク:136Nm/4800rpm
変速機:CVT
JC08モード燃費:18.2km/L
乗車定員:5名
車両本体価格:154万5382円

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