【新車のツボ74】VWザ・ビートル・ターボ試乗レポート (2ページ目)

  • 佐野弘宗+Sano Hiromune+●取材・文・写真 text&photo by

 こうしたちがいは、当然のごとく、前記の基本骨格やエンジン設計の新旧、あるいはタイヤふんばり寸法、そしてゴルフGTIにあるハイテク可変ダンパーがビートルにはない......といったところから来るものだ。乗る前にカタログや諸元表を見て想像したとおりのちがいが、まあ笑っちゃうほど如実に出ているのが、マニアにはツボだったりする。数字の差が乗り味にこれだけピタリ正確に反映されるとは、VWのクルマづくりがそれだけ正確で安定している......という証拠でもあるけど。

 というわけで、客観的な性能や快適性、安定性をポイント換算すれば、ハッキリいうとゴルフGTIの圧勝である。しかし、じゃあビートル・ターボが魅力に欠けるかというと、全然そんなことはない。そりゃあクルマにまったく興味のない家族や恋人を同乗させるならゴルフGTIのほうが無難だが、ワタシのような"昭和のクルマ好きオッサン"が自分で運転するなら、ツボをより強く刺激してくれるのは、ビートル・ターボのほうである。

 多少の乗り心地の良し悪しは横に置いても、ビートルのカッキーンという反応にオッサンは悶える。エンジンもゴルフGTIのそれのほうが静かで滑らかで全域でパワフルなのだが、オッサンはビートルの豪快サウンドに惹かれる。昭和の自動車雑誌には"アバタもエクボ"というフレーズが常套句のように使われていたが、これこそアバタもエクボ。まあ、アバタといっても、それはあくまで世界一優秀なゴルフGTIとの比較であって、ビートル・ターボは絶対的には十分に全身がエクボのデキ......とってもいいくらいだ。

 それから、ビートル・ターボには、いちいちオッサンのツボをくすぐるシャレが効いている。ダッシュボード中央の三連メーターやピョコンと跳ねたリアスポイラー(かつてダックテールなどと呼ばれたタイプ)など、昭和のスポーツカーを知るオッサンは感涙である。

 そもそも、ビートルそのものが全身でシャレを効かせたクルマだし......。こういうクルマだからこそ、ちょっと古典的で豪快な乗り味のほうがマッチして、好き者のツボを突く。ホント、この微妙な味わいまですべてがVWのねらいだとしたら、これは恐ろしいほど高度なシャレである。

【スペック】
VWザ・ビートル・ターボ
全長×全幅×全高:4270×1815×1495mm
ホイールベース:2535mm
車両重量:1380kg
エンジン:直列4気筒DOHCターボ・1984cc
最高出力:211ps/5300-6200rpm
最大トルク:280Nm/1700-5200rpm
変速機:6AT
JC08モード燃費:13.4km/L
乗車定員:4名
車両本体価格:348万円

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