【新車のツボ41】トヨタ・ポルテ 試乗レポート

  • 佐野弘宗+Sano Hiromune+●取材・文・写真 text&photo by

 トヨタ・ポルテ最大の特徴は、左側にある1枚ものの大型電動スライドドア(で前後席にアプローチできること)だが、じつはもうひとつ「1・7m前後の全高と地上高30cmの低い床」という組み合わせの絶妙さが、無視できないツボである。

 これから書くのは、あるスーパーの駐車場で見かけた先代ポルテの話だ。

 ひとりの女性が大きなレジ袋を2つ提げて歩いてくる。彼女はワタシの目前でリモコンキーをピッと操作した。その先にはポルテが左側面をこちらに向けて停まっていた。すでに電動スライドドアが開きはじめている。

 女性はそのまま歩いていく。そして、彼女がポルテの左側面に到着すると同時に、スライドドアがピタリと全開。彼女はまったく歩調を乱すことなく、軽~く頭を下げただけでポルテ(の後席)に歩み乗る。後ろのシートにレジ袋を置く。しかる後、そのまま車内を歩いて運転席に......と次の瞬間、スライドドアはスーッと閉まりはじめる。運転席の手もとにあるボタンでドアを閉めたのだろう。

 この間、10秒ちょい。重そうなレジ袋を2つも提げていた彼女は、1度も立ち止まることなく、歩く速度も変えることもなく(!)、腰をかがめることもなく(!!)、しかもクルマのボディに指1本触れることなく(!!!)、ポルテに乗りこんで走り去ったのだ。

 いつも背の低い2ドアに「よっこいしょ」と乗り降りしているワタシは、その光景にマジで感動した。ポルテ乗りはこうして「クルマは歩いて乗りこむ、クルマのボディは触らない」という毎日をすごしているわけだ。

 この新型ポルテは2代目。前身の初代は2004年から約8年も続いた長寿モデルだ。04年当時といえばトヨタが"ユニバーサルデザイン"を推していた時期で、初代ポルテも一般的に"福祉専用車"のイメージが強かった。

 しかし、そのすさまじく良好な乗降性や、室内の広さと使い勝手(折り畳みクルマイスやベビーカー、自転車まで、スライドドアから軽々と積み下ろし可能)で、実際の初代ポルテは老若男女に根強く売れ続けた。しかもトヨタの調査によると「初代ユーザーの使い勝手満足度は100%」だったとか。というわけで、ポルテはあらためて「日常便利グルマの決定版にして、トヨタの定番商品」として2代目にフルチェンジ。しかも今回から双子車(スペイド)まで追加して、トヨタ系のほぼ全店舗で売る力の入れようだ。

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