宮司愛海アナが感じる、新型コロナウイルス感染症が変えたスポーツ取材の在り方 (3ページ目)

  • 佐野隆●写真 photo by Sano Takashi

 さて、少し私自身の話をすると、緊急事態宣言中は番組収録や生放送がある日以外、基本的に自宅で過ごす毎日を送っていました。

 この時、とても自分の為になったなあと思うのは、アナウンサー同士の「オンライン勉強会」。これはもちろんクローズドな勉強会で一般に公開されるものではなかったのですが、テーマは本当にさまざま。ベテランスポーツ担当アナウンサーによる競技のルール講習、アメリカ在住の方による新型コロナウイルスの現状、ナレーションの心得、などなど......毎週何かしらの勉強会に参加していました。 

 アナウンス技術に関してはまだまだ毎日模索・修行中の身。『S-PARK』の企画ナレーションやニュース読みも含めて、表現力にバリエーションを持たせたいという悩みは常にあります。勉強会で、とあるスポーツアナウンサーの先輩がしていた「自分の中から新しいものが生まれることは少ないから、他局のアナウンサーの実況を聞いたり真似したりして表現の幅を広げている」という話は発見でした。

 また、コロナウィルス感染拡大防止のため土曜日のオンエア担当から外れた期間、同時間放送されている他局のスポーツ番組を比べて見ていました。これを機に改めて、『S-PARK』がどういうふうに見えるのか、視聴者の方々からどう受け止められているのかというのを考える機会にもなったように思います。

 この約3か月間の自粛期間は、取材をさせていただく立場からではありますが、2年半オリンピックに向けて走り続けてきた足を一度止め、改めて自分の仕事や人生について考える期間になりました。これからどう生きていきたいのか、自分はいったい何を人生で達成したいのか、どんなことを大切にしたいのか......。きっと皆さんにとってもいろんなことを考える機会になったのではないかと思いますが、時々こうして手を止めてゆっくり自分に余裕をつくることも、必要なことなのかもしれませんね。

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