宮司愛海×中村光宏のフィギュア話。四大陸で感じた日本女子選手の成長 (6ページ目)

  • 佐野隆●写真 photo by Sano Takashi

宮司 練習から飛んでいるのを見ても、安定感があるし、両腕を挙げるタノジャンプもできていました。紀平選手は、自分で考えて分析する能力が高いという印象があるのですが、ミツさんはどう感じていますか?

中村 クレバーだよね。それが演技をしながらのリカバリー能力にもつながっている。

宮司 四大陸のフリーでのリカバリーは本当にすごかった。予定では、2番目のジャンプはトリプルアクセル+2回転トウループだったのが、アクセルでミスして1回転アクセルになってしまい、コンビネーションジャンプにもできなかった。それなのに、次のトリプルアクセルのときに、しっかりとリカバリーしてトリプルアクセル+2回転トウループを決めた。ステップの間にリカバリーのことを考えていたこともそうだし、日頃からプランが崩れたときのことを想定していたってことにも驚きました。

中村 プランが崩れたときの想定といっても、どこでミスするかはわからないから、相当数のリカバリーのパターンを用意していたと思うんだよね。しかも、それを考えているなかでのステップでしっかりとレベル4を取っているすごさ。

宮司 本人はステップの時は表情が堅かったと振り返っていましたけど、まったく気づかなかったですからね。

中村 さらに言えば、プログラムの後半で予定を変更して3回転フリップ+3回転トウループ+2回転トウループを入れてきて驚いていたら、それだけじゃなくて、次で3回転フリップ+3回転トウループを入れるんだもの。それができる技術の高さもだけど、滑りながらでも冷静な判断を下せる。そこが紀平選手のすごさだよね。

宮司 去年シニアデビューして、今シーズンはまだ2年目。それなのに戦い方を知り尽くしている感じがします。

中村 彼女は、今シーズンはずっと、「世界選手権にピークを持っていく」と言っているけれど、背景には昨シーズンの世界選手権でピークを持っていけなかったことが悔しいと話していて。で、今シーズンはしっかりと世界選手権に向かって進んできた。そんな戦い方ができる選手が、まだ17歳だよ!

宮司 信じられないことです。

中村 四大陸選手権では3回転ルッツを取り戻せたし、試合のリカバリー力も発揮できた。十分すぎる手応えがあって、今度は世界選手権。

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