宮司愛海×中村光宏のフィギュア話。四大陸で感じた日本女子選手の成長 (4ページ目)

  • 佐野隆●写真 photo by Sano Takashi

宮司 3年前の四大陸選手権って9位に終わって泣いてしまった時ですか?

中村 そう。2016-17シーズンは、彼女にとってシニアデビューしたシーズンで、あの時の四大陸は、まわりの雰囲気に飲まれて圧倒されてしまったと話していた。そこがあって、今回はメンタル的な成長をしっかり見せてくれた。何がすごいって、トリプルアクセルに挑戦して失敗した後の3回転ルッツ-3回転トウループを綺麗に決めた。彼女は大技をひとつ組み入れるだけではなく、そこで失敗しても崩れないようにと、練習のときからずっと意識を持っていたんだよね。だから、すぐに気持ちを切り替えられた。取材してつかんだ秘密情報があるんだ。知りたい?

宮司 おっ!?  本当ですか? 言っていいんですか?

中村 ......隠した方がいいかな?

宮司 そこまで言ったら気になるじゃないですか。怒られる時はミツさんなので、教えて下さい(笑)。

中村 樋口選手がやろうとしている4回転は、トウでもサルコウでもなく、ルッツ。

宮司 へえ!

中村 ルッツがもっとも高く飛べるんだって。トウループは3回転で2回使いたいから残しておきたいっていうのもあるそうなんだ。

宮司 なるほど。でも、サルコウじゃなく、男子でも難しいと言われるルッツだなんて、すごいですね。

中村 でしょ! トリプルアクセルで大技へのチャレンジの流れも掴んでいるから、4回転ルッツをプログラムに入れる日も遠くないと思う。どんどん希望が膨らむよ。

宮司 いまはロシア勢3人のうち、トルソワ選手と、シェルバコワ選手も4回転ルッツを飛びますが、日本人選手もどんどん成功させてもらいたいですね。成功に一番近いと言われる紀平選手についてはどうですか?

中村 その前にトリプルアクセルの話をもう少ししてもいい? 

宮司 ただ喋りたいだけですよね(笑)。

中村 トリプルアクセルは、紀平選手がすでに飛んでいて、樋口選手も挑戦しているけれど、このジャンプが今後は勝敗をわける重要なものになる可能性が高いと思う。

宮司 なぜですか?

中村 現行ルールだと、女子はショートで4回転ジャンプは禁止されているから。フリーで4回転ジャンプが飛べて、フリーでもショートでも使えるトリプルアクセルを飛べれば、だいぶ有利になるから。しかも、トリプルアクセルがないと、フリーは1つアクセルを入れなくちゃいけないからどれだけ4回転が跳べてもダブルアクセルを跳ばなくちゃいけない。

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