2019.10.11

宮司愛海アナが日本柔道の厳しさを
実感。銀メダルでも祝福できない?

  • 佐野隆●写真 photo by Sano Takashi

 今回の世界選手権について、男女それぞれ1階級ずつお話をさせていただくと、男子は66キロ級の準決勝での日本人対決。丸山城志郎選手と阿部一二三選手の試合が一番印象に残りました。

 この2選手は、オリンピック66キロ級のたった1枠を争うライバル同士。去年4月の全日本柔道選抜体重別選手権で戦った時に、13分23秒という死闘を演じ、今大会も延長を合わせて7分46秒というひと時も目の離せない試合を展開しました。

 丸山選手は試合序盤で右足を痛め、一方の阿部選手も右目をその前の試合で負傷し腫らしながらの試合。両選手とも満身創痍ながら、66キロ級の覇権は渡さないというプライドがぶつかり合うのを感じました。

 阿部選手は、これまで世界選手権を連覇しながら、世界から自分の柔道を研究され、去年の後半あたりからはなかなか成績が残せない苦しい時期を過ごしてきました。今大会はプレッシャーもあったと思いますし、逆にここで勝てばオリンピックの代表争いから丸山選手に差をつけられるという自分への期待もあったと思います。

 一方の丸山選手は、去年11月のグランドスラム大坂で優勝すると、国際大会を3大会連続で優勝。4月には先の大会で阿部選手を破りました。26歳という年齢から”遅咲き”と言われることもありますが、去年後半からの勢いそのままに臨んだ今大会。ご自身も話されていましたが、立場上、負けたら終わり、オリンピック出場争いからも後退してしまう中で、そのたたずまいからは”侍”のような空気を感じました。

 この試合について解説の野村忠宏さんが指摘されていたのは、丸山選手が足を痛めたとわかった時点で前に出られなくなってしまったのが阿部選手の弱さだということ。終始、丸山選手の気迫に押されてしまったのではないかとも話されていましたが、その一方で、痛みをこらえつつ戦い抜いた丸山選手の精神力は見事でした。このふたりの戦いは「どちらが劣る」ということではなく、もっと高い次元での頂上決戦なのだと思います。

 この次、ふたりは、恐らく11月のグランドスラム大阪大会で戦うことになります。正真正銘の、オリンピック代表を懸けた直接対決になるでしょう。そこでどのような戦いが見られるか注目したいです。