競泳女子のエース・渡部香生子選手を成長させたコーチの言葉

 順調な成長を見せていた渡部選手でしたが、13年にはスランプに陥ります。4月の日本選手権では200m個人メドレーで世界水泳バルセロナの出場権を獲得したものの、100m平泳ぎは派遣標準記録を切れないまま。得意とする200m平泳ぎはA決勝に進出できず、B決勝8位。

photo by Yamamoto Raitaphoto by Yamamoto Raita その日本選手権で印象に残っているシーンがあります。100m平泳ぎで2位だった渡部選手は、人目もはばからずに号泣していました――。素直に感情をさらけ出すその姿から、渡部選手がどれほど負けず嫌いかということが伝わってくると同時に、だからこそ、これからさらに伸びていくのだろうな、とも感じました。

 結局、13年の世界水泳では200m個人メドレーで準決勝敗退の11位、100m平泳ぎは予選27位と最悪の結果だった渡部選手。そんなとき、かつて中村真衣選手(2000年シドニー五輪100m背泳ぎ銀メダル)を育てた竹村コーチが渡部選手の担当になったのです。そして、「選手に『私を見てくれている』ということをわかってもらうことが重要」と考えている竹村コーチの指導で、渡部選手の調子は少しずつ上向いていきました。

 竹村コーチが渡部選手にいつも伝えているのは、「つらい時こそ笑顔でいよう」ということ。

 当時の渡部選手は練習に取り組む姿勢にムラがあり、疲れているときや調子が悪いときは休むこともあったそうです。そんなとき、竹村コーチは、笑顔でいることを意識することで、気持ちを高めてもらいたいと考えていました。

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