【竹内由恵】メダル奪還へ。井村雅代コーチの手腕で日本シンクロは復活するか? (4ページ目)

 また、井村コーチは「エースを温存すべきではない」という考えのため、今回の世界水泳で乾選手になるべく多く出場してほしいと考えていました。そして、相談した結果、乾選手は8日間で予選も含めて14試合(※)のすべてに出場することを決めたといいます。それも井村コーチに対する信頼感の表れだと思います。

※ソロテクニカルルーティン、ソロフリールーティン、デュエットテクニカルルーティン、デュエットフリールーティン、チームテクニカルルーティン、チームフリールーティン、フリーコンビネーションの7種目それぞれの予選と決勝

photo by Yamamoto Raitaphoto by Yamamoto Raita 日本のコーチに復帰する前、井村コーチの日本代表選手に対する印象は「体型が丸すぎる。だから勝てない」というものでした。勝つためには、「もっと鉛筆のように尖った脚でなければいけない」。そこで、14年に就任してから最初の1カ月間は、選手の脂肪を落とすために、1日10時間とも言われるハードな陸上トレーニングを課していたのです。

 また「チーム内の競争心が希薄で、選手の気質が以前とは変わった」と感じた井村コーチは、選手の意識を変える必要性を痛感していました。

 たとえば、以前指導していた中国チームの場合、出身省が異なる選手間の対抗意識がかなり強く、腹筋のトレーニングのときなどは、お互い負けたくないため誰かが先にやめるまで、泣きながら何百回も腹筋を続けていたといいます。そんな負けず嫌いの気持ちを、今の日本チームにも植えつけたいと井村コーチは考え、練習メニューを組んでいるのです。

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