2014.11.07

フィギュア・村上佳菜子選手の「新エースとしての決意」

 これまで村上選手は、鈴木選手や浅田選手をはじめ、先輩たちの背中を追いかけてきました。しかし、今季は自分より年下の選手が増え、鈴木選手や浅田選手がいないため「寂しさも感じている」と、今の気持ちを語ってくれました。また、周囲から”エース”と言われることが多くなってきたことについて、本人は「エースと呼ばれたいような、呼ばれたくないような……、複雑な心境です」と苦笑いしていました。

今季、日本女子のエースとしてグランプリファイナル進出を目指す村上佳菜子 photo by Noto Sunao(a presto) また、私は以前、村上選手が試合で負けたとき、演技後に悔しそうな表情を見せずに笑顔でいるシーンを見て、「勝ちたいという欲がそれほどないのかな?」と思ったことがありました。そのことをご本人に聞いてみると、「ずっと誰かにやらされているという感じが少しあって、何がなんでも勝ちたいという気持ちはあまりなかったかもしれません」と、これまでのフィギュアスケートとの向き合い方を自己分析していました。

photo by Yamamoto Raita しかし今、そんな村上選手の気持ちに変化が見られます。これまで村上選手は自分からシーズンの目標を口にすることがなかったのですが、今季は「グランプリファイナルと世界選手権でメダルを獲りたい!」と、はっきり宣言したのです。

「新しいことに挑戦したい――」。そう話す彼女の表情には、逞しさが加わってきたように感じました。今シーズンは先輩たちがいない。だから、今までと同じことをして満足している訳にはいかない……。何よりも、「勝ちたい」という強い気持ちが、彼女をどう成長させていくのか楽しみです。

 実は、村上選手は、ソチ五輪が終わったら引退をしようか悩んでいました――。そのことを、鈴木選手や浅田選手にも相談していたといいます。相談を受けた鈴木選手は、「佳菜子はまだまだやれる」と思っていたそうですが、昨シーズン中は「私の考えを伝えるのはまだ早いかな」と、何も言わずにいたそうです。

 ソチ五輪で村上選手は12位。さらに3月の世界選手権は迷った末に出場を決めたものの10位と不本意な結果。村上選手は「何かやり残したような感じだった」といいます。その時、鈴木選手は「今こそ私が言うべき時」と、村上選手にこう伝えたのです。