フィギュア・村上佳菜子選手の「新エースとしての決意」

11月特集 フィギュアスケート新時代

 今年もフィギュアスケートのグランプリシリーズが開幕しました! 初戦のアメリカ大会では、男子は町田樹(たつき)選手が圧勝。女子はロシアのエレーナ・ラジオノワ選手が優勝しました。続く第2戦カナダ大会は、無良崇人選手がショートプログラム(SP)2位からの逆転優勝を飾り、女子は16歳の宮原知子(さとこ)選手がグランプリシリーズ自身初となる表彰台で3位入賞。12月のグランプリファイナルを目指す選手たちの氷上での熱い戦いが繰り広げられています。

photo by Yamamoto Raitaphoto by Yamamoto Raita 昨季は羽生結弦選手が2013年12月のグランプリファイナル(福岡)と、2014年2月のソチ五輪、そして3月の世界選手権(さいたま)で金メダルを獲得して3冠を達成。日本中が大いに盛り上がりました。そして、ポスト五輪となる今季、私が注目している選手のひとりが、エースとして日本女子を引っ張る存在の村上佳菜子選手です。

 村上選手は、鈴木明子選手と浅田真央選手とともに女子シングル代表として2月のソチ五輪に出場。しかし五輪後に鈴木明子選手は引退、浅田真央選手は休養中と、村上選手にかかる期待は、昨季よりも大きなものになっています。

 ソチ五輪に一緒に出場した3人は本当に仲が良くて、まさに「仲良し3姉妹」。その中で村上選手は末っ子という立場だったのですが、同時に、選手や周囲の関係者の誰もが口をそろえて言うように「周りの空気を読めて、気を遣う人」でもあります。

 私が村上選手のそんな一面を見たのはソチ五輪の時でした。SPが終わった翌朝、フリー(FS)の公式練習後に、鈴木選手が足の痛みで思うような練習が出来なかったためか、控室に向かう途中で号泣してしまうシーンがありました。それを見ていた記者たちも凍りつくような雰囲気になったのですが、その時、村上選手が鈴木選手の肩を抱いて「大丈夫、大丈夫だから...」と慰めていたのです。

 ソチ五輪後、鈴木選手は「あの時は、試合前で佳菜子も自分のことで"いっぱい、いっぱい"なはずなのに、慰めてもらえてすごく助かった。彼女の存在がものすごく大きかったけど、ちょっと申し訳なかったなとも思っています」と話していました。そんな優しさも村上選手の魅力のひとつだと思います。

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