「人生最後の五輪」ソチの舞台に立つ髙橋大輔の秘めたる思い

 いよいよ2月7日に開幕するソチ五輪。今回出場するフィギュアスケート男子選手のなかで私が注目しているのは髙橋大輔選手です。27歳の今もなお進化を続けている髙橋選手は、同年代の私にとって、勇気を与えてくれるアスリートのひとり。

 髙橋選手は06年トリノ五輪(8位)と10年バンクーバー五輪(銅メダル)に出場していますが、最初のトリノの時は、「出場枠1を織田信成選手と競い合っていたので、出ることだけが目標で、わけがわからずに終わってしまった」といいます。

photo by Yamamoto Raitaphoto by Yamamoto Raita そして次のバンクーバーは、08年秋の練習中に右膝を痛め、手術後、09年春から氷上練習を再開するというギリギリの状態での出場。「頑張って復活劇を見せるという思いで何とか間に合った五輪だった」と、必ずしも100%満足のいく準備ができてはいなかったのです。

 今回のソチ五輪は、昨年末の足のケガの回復具合が気になりますが、髙橋大輔選手本人が言う「人生最後の五輪」に向けて万全の体制で臨んでほしいと思います。

ケガから復帰して出場した前回バンクーバーで銅メダルを獲得した髙橋大輔 photo by JMPAケガから復帰して出場した前回バンクーバーで銅メダルを獲得した髙橋大輔 photo by JMPA 髙橋選手はバンクーバーで見事に銅メダルを獲得した時、23歳。当時はその年齢が「フィギュアスケート選手の体力的なピーク」だと考えていたそうです。さらに、五輪後の2010-2011シーズンは調子が上がらなかったため、「そろそろ辞めようか......」と考えることもあったといいます。

 そんな時、パトリック・チャン選手(カナダ)が、2011年1月のカナダ選手権のショートプログラム(SP)とフリーで、4回転ジャンプを入れた完璧な演技で高得点を出しました。さらに、2011年3月の世界選手権でも初優勝して、チャン選手は一気に世界のトップに立ちます。

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